今回ご紹介するのは、ドイツ語圏にあるシャフハウゼンに拠点を構える『IWC(アイダブリューシー)』より、今年リリースされた永久カレンダー搭載のハイエンドモデル「 ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42」です。
既視感のある新作ではありますが、新たな基幹ムーブメントであるCal.82650の搭載によりサイズを抑えつつ実用性を向上するという大きな進化を経たモデルで、質実剛健なウォッチメイキングとシンプルな見た目によりIWC“らしさ”を感じられる傑作タイムピースです。
IWC/アイダブリューシー PORTUGIESER PERPETUAL CALENDAR 42(Ref.IW344203) ¥2,340,000+税
1985年に同社の時計技師のリーダーを務めていたクルト・クラウス氏が、わずか80個の部品で日付・曜日・月表示の他、4桁の西暦やムーンフェイズまで表示するパーペチュアルカレンダーを「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー」に搭載し発表。この永久カレンダーはリューズですべての操作が可能で、この機構の大きな課題であった操作性を克服したことにより世界中から高い評価を受けました。
その歴史的な発明を引き継ぎつつ更に実用性を向上させるべく、今作には「ポルトギーゼ・オートマティック40」に搭載されるCal.82000系をベースムーブメントに採用。これにより厚みと大きさを抑えながら、高精度と耐衝撃性を兼ね備えた永久カレンダーが完成しました。
これまでのIWCの自社製ムーブメントは“大型であること”が大きな特徴の一つでした。
これは耐久性や高精度を保つため(=実用性を重要視)でしたが、今作のようにクオリティを上げつつサイズを小さくすること(=着用感の向上)は更なる実用性の向上に必要な項目だと判断されたようです。
今作に搭載されているCal.82650は、Cal.52000系の双方向巻上げ式のペラトン爪レバー式自動巻き機構とCal.89000系の一部輪列を参考に開発されました。
大きなストレスにさらされるムーブメントの部品(巻上げ爪、自動ホイール、カムといった重要パーツ)はセラミック製になり耐摩耗性を向上、また効率の良い巻き上げ機構により60時間のパワーリザーブを実現しています。
ダイヤル上のインダイヤルは右が日付表示、下がムーンフェイズと月表示、左が曜日と閏年表示となっており、IWCでは珍しくムーンフェイズが6時位置(12時位置が多い)に配置されたクラシックなデザインです。
針はポルトギーゼらしく細身のスラっとしたリーフ針を採用。
分針と秒針は外周のレールウェイミニッツトラックにしっかりと掛かるよう長めにデザインされています。これも視認性の向上を図ったデザインで、実用性を重視したIWCらしいデザインだと言えます。
また、6時位置のムーンフェイズは実際の月軌道との誤差が577.5年間でわずか1日という高い精度を誇ります。
ケースサイズは42.4 mmと、前述したとおり従来の永久カレンダーに比べ2~6㎜程の小型化を実現。
ケース径2㎜の増減は着用時の印象が大きく変わるほどの小型化で、実際腕周り15㎝ほどの私でもほとんど違和感なく着用できるサイズ感です。(写真は腕周り約15cm)
ケース厚は同社の現行パーペチュアルカレンダーでは最も薄い13.8㎜で、ポルトギーゼ・クロノグラフと比較してもわずか0.7㎜の差しかありません。(他パーペチュアルカレンダー搭載のモデルは約15㎜前後)
スーツやジャケットに合わせても強く主張することなく、上品かつ紳士的な雰囲気でスマートにご着用いただけます。
さて、裏蓋からは先ほどご説明した自社製自動巻ムーブメント「Cal.82650」の駆動を見て愉しむことができます。
サーキュラーグレインとジュネーブ・ストライプで飾られたムーブメントは実に美しく、それでいて耐久性の高いパーペチュアルカレンダー機構搭載という芸術性と高度な時計製造技術を堪能できる素晴らしいムーブメントです。
パーペチュアルカレンダーをより実用的に昇華した今作は、その複雑機構を毎日の生活の中で使用できるよう現代のニーズに応えたIWCの“らしさ”を感じられる傑作タイムピースです。
気になった方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度大丸福岡天神店にて実機をご覧頂ければと思います。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
◆商品詳細はこちらから→https://watch-fukuoka-tenjin.com/product/iwc/portugieser/iw344203/
◆IWC公式サイト内商品ページ→https://www.iwc.com/ja/watch-collections/portugieser/iw344203-portugieser-perpetual-calendar-42.html